家紋資料室 / 暮らしの記憶
家のしるしを、次へ家紋と、暮らしの記憶。
箪笥から出てきた紋付。屋根に残る小さな紋。写真を見ながら家族が話してくれたこと。家紋の名前を調べた、その先にある「わが家の記録」を残すための読みものです。

紋の形と、一緒に残したいこと。
図鑑にある同じ形の紋でも、どの品に付いていたか、誰が使ったのか、どんなときに取り出したのかは、それぞれの家にある話です。名前がまだ分からなくても、今見える形と、覚えている人の言葉から記録を始められます。
最初から家の歴史を完成させる必要はありません。写真を一枚撮る。品のあった場所をメモする。家族に一つ聞いてみる。残せた手がかりを、次の人がたどれるようにすることを大切にします。
形だけでなく、たどれる記録に。
01 家紋の形と、呼び名
まず実物の紋を見て、円や葉の数、外輪、向きを記します。図鑑の名称と、家で使っていた呼び名は別々に残せます。名前を確定できなくても、写真と観察した形が手がかりになります。
02 品と、写真のつながり
一つの品に「品01」などの番号を付けます。全体、紋の近接、裏面、箱書き、元の置き場所を写し、写真のファイル名を同じ番号でそろえます。記録シートと写真を後から結び直せます。
03 誰が、いつ話したか
聞いた日、話した人、何を見ながら話したかを添えます。「自分で見た」「家族から聞いた」「資料で読んだ」を分け、年代が曖昧なら、家や行事を手がかりにした言葉をそのまま残します。
04 何を、誰に渡したいか
原物、写真、言葉のうち残したいものと、その理由を記します。受け取る人に確認済みか、家族で相談中かも添えます。住まいの管理や売却を考えるとき、残したいものを伝える材料になります。
最初の一回は、品を一つ選んで。
見つけたままの場所を残す。
取り出す前の全体を写し、箪笥の何段目、どの箱の中だったかをメモします。品を動かしたら、元の場所と今の保管先を分けて記します。
一つだけ、家族に尋ねる。
「この品を使った人を覚えている?」など、写真を見ながら聞きます。話してくれた言葉は引用として、聞き手がまとめた説明は要約として残します。話せないことを埋める必要はありません。
記録と写真に、同じ番号を付ける。
記録シートの「品01」と、写真の「品01-全体.jpg」「品01-紋.jpg」を対応させます。PDFには写真そのものは入りません。記録と写真の両方を、家族が見つけられる場所へ保存してください。
次に確かめることを一つ決める。
箱の字を読み直す、別の家族に写真を見せる、図鑑の出典に戻るなど、誰が何をするかを残します。後日分かったことは、前の記録を消さず、確認日を添えて別の版にまとめられます。
「見たこと」と「聞いたこと」の記入例。
次の例は、書き分け方を示すための架空の記入例です。実在の家や品の来歴ではありません。
- 実物で見たこと
- 品01の羽織の背に七つの円。中央の一つを六つが囲む。外輪は見当たらない。写真「品01-紋.jpg」で確認。
- 家族から聞いたこと
- 11月4日、家族Aが「祖父が祝い事で着ていたと思う」と話した。使った年代はまだ聞けていない。
- 資料で調べたこと
- ATAWI家紋の「七曜紋」と配置が似ている。家の実物との同定や、歴史上の家との関係までは確認していない。閲覧日とページのURLを記録。
- 次に確かめること
- 家族Bに古い集合写真を見せ、羽織と同じ紋かを尋ねる。箱書きも撮影する。
形が似ていることと、同じ家系に属することは別の問題です。家紋の図だけで先祖の身分や歴史上の人物とのつながりを決めず、家に残る資料と話を積み重ねていきます。
残した記録を、次の人が開けるように。
PDFと写真は、品の番号が分かる同じまとまりに保存します。紙で残す場合も、写真の控えや保管先を書き添えます。話を共有してよい相手、控えを持つ人、次に開いて確かめる日まで決めておくと、作って終わりになりません。
記録シートは、家紋と暮らしを記すためのATAWI家紋の提案です。資料館による鑑定、家系の証明、住まいの売却契約を行うものではありません。分かったことから書き、後で確かめられる手がかりを一緒に残してください。
三つの読みもの
家紋は、道具や建物にも残る。
田沼家の刀だんすや飯びつに残る七曜紋は、2019年の牧之原市史料館の展示を報じた記事に紹介されています。武家の紋が、日々の暮らしの品に付いていた実例です。[1]
鳥羽市の郷土学習本には、九鬼家の菩提寺・常安寺の瓦に残る七曜紋が、写真とともに掲載されています。家紋の図だけでなく「何に残るか」を見ると、家や土地との関わりをたどる入口になります。[2]
七曜紋の歴史と実物の使用例を読む →家を大切に思う気持ちを、次の形へ。
家を売却することと、家や家族の歴史を大切にすることは、両立できます。住まいそのものを受け継ぐ方法だけでなく、紋のある品、写真、家族の言葉を残す方法もあります。
国土交通省の「住まいのエンディングノート」も、住まいの情報や将来への希望を書き、ご家族で話すきっかけとして作られています。家紋の記録と、住まいをどうしたいかの話を、一緒に始めてみませんか。[3]
住まいを手放す前の記録を読む家紋と暮らしの、記録シート。
家紋、品と写真、家族の言葉、住まいと引き継ぎ。A4・4ページの記録にまとめます。空欄のまま印刷して、手書きでも使えます。
名前が分からなければ、見た形や呼び名から記してください。
別の家紋を探すすべて任意です。各欄4,000文字まで。長い記録はPDFの続きのページに収めます。写真ファイルそのものは添付されません。
入力はこの画面内で扱い、送信・自動保存はしません。閉じる前にPDFを保存してください。PDFには入力した内容が入ります。共有する相手はご家族でご確認ください。
初回はPDF作成に必要なファイル(約6MB)を読み込みます。印刷用の白い用紙に、読みやすい黒文字で出力します。
作成したPDFをもう一度保存作成したPDFを開く・印刷する保存したPDFは記録の控えです。内容を直すときは、この画面の入力を直して再度PDFを作成してください。
参照資料
資料確認日 2026年11月4日。歴史資料で確認できる実例と、この資料室からの記録方法の提案を分けて紹介しています。
- 日蓮宗新聞社「静西・田沼意次―生誕300年特別展」 ↗2019年10月17日:牧之原市史料館の特別展を報じた記事
- 鳥羽市「とばっこ探偵団―海からの挑戦状― 第2章『鳥羽城と九鬼嘉隆』」 ↗冊子35頁(分割PDF6頁):常安寺の唐破風・瓦と鬼瓦写真
- 国土交通省「住まいの将来をご家族で話し合ってみませんか?~住まいのエンディングノートを作成しました~」 ↗2024年6月21日:作成の趣旨、記入する情報と家族の話し合い

